今月の作家 (平成25年4月号より) 

 

 

総国 萩原敏子

 

 

 埴輪道を海へ向かったら、九十九里からの光を感じた。まだ風は尖っているが、立春を迎えると空の明るさが格段に違う。

 緩やかに弧を描く水平線、遠浅の砂浜によせてはかえす春の波。半島を南へ下れば、金盞花、菜の花、ストックが、色鮮やかに海を縁取り、早春の香風にのせてゐる。花づくりの無骨な手から渡されたストックの束を抱えて、一足早い春を持ち帰った。