今月の作家 (平成26年8月号より)  

 

 

渓谷の  米澤 久子

 

 良く晴れた五月の一日、青梅線を乗り継いで奥多摩の渓谷を歩いてきました。自他共に認める方向音痴がガイド本一冊をもっての小さな冒険でした。駅を出て目的地へたどりつくまで急斜面の遠かった事。滔滔と流れる上流の多摩川と、降ってくる様な夏鶯との出合いに一人と云う心細さはどこへやら、大いなる自然の中に充分ひたってきました。一人でも大丈夫と、自信のついた小さな旅でした。