主宰作品 (平成26年3月号より)

 

  

こゑ凍る 菅野孝夫  

蕪村に〈春の海ひねもすのたりのたりかな〉があり、一茶に〈うまさうな雪がふうはりふはり哉〉がある。「かな」は体言または活用語の連体形に付くものなので、擬態語などのあとには来ないものだが、「のたりのたり」「ふうはりふはり」は修飾語の体言的な使用例。一茶には「そよりそより哉」「しくりしくり哉」「ずうんずうん哉」など、この用法が多い。〈子狐を詠む卒翁でございかな/青野青畝〉は許容範囲を越えているかもしれない。〈秋深きことにこと寄せ話すかな/星野立子〉は話すの連体形に付いたもの。このように用言につく場合は「浮きがな」と呼ばれると、山本健吉の書いたものにある。