菅野孝夫

見てゐたる

 

 

 

 

海の日の海の夕日を見てゐたる

 

捩花の一身上の都合かな

 

ねぢ巻いて椅子組み立ててゐる晩夏

 

下水道工事残暑の穴を掘る

 

出来秋となりたる蠅の羽音かな

 

秋風や机上の塵を吹き払ひ

 

赤とんぼ蜻蛉返りをしてゐたり

 

皮をむく途中の桃にかぶりつく

 

林檎の木りんごの色となり揺るる

 

桃一個口を大きくして食へり

 

二百十日の新しきバスタオル

 

秋雨や掃出し口のなきトイレ

 

夕暮れて秋めく風や水の上

 

雑貨屋のサンダル履きや秋出水

 

台風一過泥つけてシャツ干されある

 

どてかぼちや置いて行きけり秋出水