小鳥来る 菅野孝夫

 

衰へや不意にある日の曼殊沙華

 

地に影のいよいよ痩せて柿の秋

 

痛む腰なだめてをれば小鳥来る

 

ひよどりの昨日のこゑと今朝のこゑ

 

また一つ木の実の落ちて水の音

 

栗落ちて辺りに人の家もなし

 

山の栗山の帰りに拾ひけり

 

石をもて叩き割られて鬼胡桃

 

呼び止めて吹いてみせけりひよんの笛

 

翅伏せて夕日斜めに秋茜

 

赤とんぼ塩辛とんぼ日が暮るる

 

藻屑蟹なども下りぬ鮎落ちて

 

まだ生きてをりほつちやれの口動く

 

流されて転げて海へ藻屑蟹

 

新しきスーツネクタイ一茶の忌

 

炊きたてのご飯に辛子明太子