砂を巻く

菅野孝夫

 

 

 

 

きさらぎや日差ななめに雑木山

 

芥子菜を摘みに出かけて疲れけり

 

春泥や山羊の子どもが飛び跳ねて

 

古利根の春も名のみに犬ふぐり

 

早々と蟻が一匹出てゐたる

 

雉鳴いて何事もなき野の真昼

 

春風や長兵衛忠兵衛長忠兵衛

 

雀の子怪訝の小首傾げけり

 

水ぬるむ山女の稚魚の尾がしなり

 

みちのくの春は山から雑木の芽

 

砕け散る波の飛沫に磯菜摘

 

蝶とんで波風荒き九十九里

 

どどと来て春の荒波砂を巻く

 

九十九里春の怒涛をよもすがら

 

春惜しむ亀の子束子本社かな

 

長生きやとどのつまりの蜆汁

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