菅野孝夫

葱坊主

 

 

 

 

 

 

蝶とんで花残されてしまひけり

 

まんかいの桜をあふぐ喉仏

 

城山の烏が鳴いて散る桜

 

草臥れて投げ出す足や遅桜

 

次に来るバスを待ちつつ日永かな

 

昼近き日差に熟れて夏蜜柑

 

猫の子や上野谷中の昼たけて

 

小鰺など開いて干して路地薄暑

 

ぴかぴかと釘おちてゐる夏めく日

 

銭などは元よりなくて葱坊主

 

空元気出してゐるなり鯉のぼり

 

嚢中の心許なき夏日かな

 

じやがいもの花が咲いたと虻のこゑ

 

水の底日の斑のゆれて蜷の道

 

またも同じ本買つてしまへり夕薄暑

 

本棚の奥にも本や梅雨に入る

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