雨あがる

菅野孝夫

 

パックから出されて春の日の卵

 

生卵春の日差の中に割る

 

草青みけり生卵一個分

 

五つ六つ七つ八つほど藪椿

 

蟻出でてコンクリートの上走る

 

春泥や山羊の子どもが飛び跳ねて

 

飛んできて飛んで行きけり春の蠅

 

家までの十四五分の朧かな

 

鯉の口春の空気を吸うて浮く

 

人の世の合縁奇縁蟇の恋

 

目高孵化本を読まねば腹も空かず

 

たたまれてベンチに置かれある日傘

 

鳥小屋に羽搏きをして羽抜鳥

 

木苺を摘まんとすればこぼれけり

 

採りためて手に木苺を五つほど

 

夜のうち一雨ありて鮎の川

平成30年12月号より

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