春蟬忌

菅野孝夫

 

俳諧のいよいよ痩せて翁の忌 

 

ベランダに雀のこゑも一茶の忌

 

小遣の使ひ残りや近松忌

 

憂国忌腰の痛みをなだめつつ

 

蟹の脚折りつつ食へり織田作忌

 

なるやうになつてなんとか久女の忌

 

周平忌雪しづる音続けざま

 

木曾の冠者義仲忌なり玉霰

 

生前も死後も名無しや菜の花忌

 

安吾忌や可も不可もなく生き延びて

 

鉄アレイ五キロ大高源吾の忌

 

茂吉忌や雑木林の夜の風

 

あつけなくつまづく石や実朝忌

 

春蟬忌多摩の横山うすがすむ

 

多摩川に小魚の跳ねて悌二郎忌

 

春蟬忌高からねども山深く

平成29年12月号より

平成年11月号より

平成30年10月号より

平成30年9月号より

平成30年8月号より

平成30年7月号より

平成30年6月号より

平成30年5月号より

平成30年4月号より

平成30年3月号より

平成30年2月号より

平成30年1月号より

ホームへ戻る